ひとり海沿いを伝って葉桜を見に行く。花びらは思っていたよりも残っていた。
ベンチを見つけ、ゆっくりと珈琲を飲みながら一服していると、海辺の方から不意に生温かい突風が首筋をすり抜け、地平を一掃するような勢いで、花びらが宙に舞った。

あっ…花に嵐──

思わず立ち上がったのだが、そのとき咄嗟に浮かんだわたしの感情は「サヨナラダケガ人生」といった無常観ではなく「赦されたんだ」という、どこか何とも言い知れぬノスタルジーめいた感慨であった。

                                



赦されたんだ、きっと…と、なぜかそのように思えた。




…そういえば桜の香りというのは


ほとんどないことを知る。